備忘録

アントン・ブルックナー 魂の山嶺 田代 櫂(春秋社)
「ヴァーグナーに対するブルックナーの関心は、そのオーケストレーション、主題処理の技巧、半音階的和声など、もっぱら音楽的側面に限られていた。ヴァーグナーの音響世界から、ブルックナーが無意識に体得したものがあるとすれば、それは常軌を逸した巨大さの感覚であろう。ヴァーグナーの場合、それは無限に拡大する自我の所産だったが、ブルックナーの場合、巨大さは『永遠なるもの』への触手として働いた。それがこの二人の違いである。」
「後年ブルックナーは弟子たちに、しばしばバッハのフーガを演奏させたが、自分ではこういうものに手を出す気はないと言っていた。彼にとってオルガン演奏は、徹頭徹尾インプロヴィゼイションの芸術だった。<中略>ブルックナー晩年のオルガンの弟子ヨーゼフ・ラボールは、なぜウィーンでオルガン・コンサートをやらなくなったのか、ブルックナーにその理由を訊ねた。ブルックナーはこう答えた。『私の指はいつかは埋葬されるが、その指が書いたものは違う』なぜ彼が交響曲を書き始めたのか、これも一つの答でもある。」

#ブルックナー

阪本 正彦 オフィシャルサイト

指揮者 阪本正彦のオフィシャルサイトです。 指揮活動情報その他をお知らせいたします。 演奏会指揮だけでなく、下振りとしての合奏指導、分奏指導等にも日本全国どこへでも伺います。 ご用命はお気軽にメッセージ(hornist@mac.com)にて。

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